講座 認知症と感覚統合 1

1.感覚統合理論からみた認知症の問題の焦点
(ア) 感覚剥奪(sensory deprivation)
   ① 感覚の鈍磨;前庭系感覚、固有感覚、他
   ② 運動の機会を失う;長期入院などによる
(イ) 高い不安水準(anxiety level);愛する人、仕事、家族の喪失、恐怖

2.作業療法が設定する治療目標
(ア) セルフケアをできるだけ維持する
(イ) 進行性疾患(アルツハイマー、ピック病など)の退行を遅らせる
(ウ) QOLをできるだけ良い状態に保つ

3.作業療法の評価:ADL、認知、言語、対人関係他。(パラチェック老人行動評定尺度など)

4。作業療法のプログラム
(ア) ADL;
   食事、更衣、入浴、掃除などに感覚統合を利用(例:嗅覚刺激は他の感覚に比べて情緒の座である辺縁系に直接、情報が伝えられる。記憶と係わりの深い海馬も含まれている。その為、情緒的な記憶を回想させ、注意を喚起する。ただし、順応が早く、長時間興奮させる効果はないので連続刺激させない)。ストレスを与えない為に、急がせず、頻繁に短時間働きかける
(イ) コンサルタント(他職種や家族他へ)
(ウ) グループ活動;”Let’s have a party”、circle of wheelchairs
   お年寄りはグループ活動時に自尊心を守ろうとするので子どもじみた内容は避ける。「パーティをしましょう」と話しかける。笑顔、安心、信頼。
① 匂い当てゲーム。「ここにとても良い匂いのするものがあります」
※アロマなど口の中に入れてしまう事故を防ぐため、容器を工夫する
② スカーフの素材当てゲーム
③ バルーンまわし。「どうぞ」と声をかけて渡す
④ ゴムを引っ張り合う
⑤ パラシュートの真ん中に風船等を置き、引っ張り合ったり、上にあげる。姿勢を矯正し、重力を感じる。酸素を取り込む。
⑥ リフレッシュとして飲み物、ビスケットなどを用意し、摂食訓練、社交の場にも応用する。
(エ) 環境調整;感覚剥奪をできるだけ防ぐ
① 心地よい聴覚刺激:音楽
② 視認できる視覚刺激:金魚など
                                       (原和子 講義メモから)

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