「高次脳機能障害」タグアーカイブ

固く巻いた「あんでるせん」くるくる棒

 高次機能障害を持つ方でモノの感覚を確かめるような作業を見せられる方に気づかれたことはありませんか。例えば強い筆圧とか、繰り返されるのりづけなどです。 ある作業所であんでるせん工芸にとりくむためチラシのくるくる棒をつくってもらいました。提供したチラシのサイズが大きかったせいもありますが、しっかり固く巻かれたくるくる棒が多量にできてしまいました。そこで・・・

 高次機能障害の特性のひとつととらえてこの固いくるくる棒を生かすアクティビティーを提案します。固く巻かれた「あんでるせん」のくるくる棒を面にするアクティビティの作業分析とこのアクティビティを通して知ることのできる作業特性を紹介します。固く巻かれたくるくる棒は、「あんでるせん」手工芸の籠制作には、不向きですがこの棒の固さを利用して仕事の合間の気分転換にできる作業課題に仕立ててみました。作業分析と作業プロセスを検討することで知ることのできる特性を解説しています。利用者の隠された能力の発見がこのアクティビティの目的です。

アクティビティーGO!http://www.otsupport.or.jp/?p=2187

音楽の照らす道 

音楽が照らす道 vol.12

 東京の目黒にある教会でひとつのコーラスグループの演奏会がありました。このコーラスグループはバッハ室内合唱団といい 東京理科大学OB・OGで結成されています。
この合唱団を率いるのは片山光由氏です。片山氏とこのバッハ合唱団は 「作業療法支援ネット」でリンクを張っている株式会社エルゴで出版した「エルゴ」という小冊子の創刊号で紹介されています。私が取材させていただいたのが2009年 それから早くも6年たってしまいました。久しぶりの再会です。片山氏の指揮で最後まで緊張感のある教会音楽をたくさんの人たちと楽しむことができました。片山氏は高度の高次脳機能障害をもたれていますが指揮棒に狂いはありません。毎年の発表会は片山氏にとっても合唱団にとっても大きな挑戦であるに違いありません。挑戦は 都内にとどまりません。2011年には長崎の大浦天主堂で 2014年にはパリのサン・セブラン教会での合唱を指揮されています。「いつも今年が最後かも」という家族や周辺の思いをいい意味で裏切りながら音楽に生きている姿が美しいと思います。美しいのはご本人だけでなくスタッフや家族、聞きに来られている人たちの輪の広がりです。私リハビリテーションの仕事に携わって30年 リハビリテーションの目標ってなんだろう? どういう姿が望ましいのかな?って悩むことばかりですが片山氏の姿にひとつのヒントがあるような気がします。人は音楽を生かしますが音楽が人を生かすことがあることを教えてもらいました。片山氏の復帰のきっかけづくりに世田谷区の作業療法士の方々も一役かっているというお話を聞いています。「作業療法支援ネット」でもまた取材する機会にめぐまれますように(美)