今日の元気:自助具 と 「描く」

今日の元気の写真は、小久保かよ子さんの絵葉書である。彼女とは、作業療法を通して知り合いました。 まだ私は、駆け出しの作業療法士でした。彼女は交通事故による頚髄損傷の障害を持たれ、四肢麻痺となられました。 目上の彼女への接し方からして作業療法という仕事の難しさ、楽しさを私は知ることになりました。

 頚髄損傷の障害では、移動手段を車いすに頼らざるを得ません。私の仕事は、自分でできることを一緒に探し達成感がもてるよう運動機能訓練と合わせて環境を整えることです。頚髄は、頸部を通る神経です。上肢や手指だけでなく、肩や頭部の運動も制限されてしまいます。

「字を書きたい。」という気持ちに応えたいのは、やまやまですが、1980年代後半携帯電話は、なく通信手段はダイヤル式電話や公衆電話、電報、手紙の時代です。作業療法士手づくりの自助具が盛んに作られていた頃です。今は百円ショップやインターネットで世界中の情報をもとに便利なものが手に入ります。

 私も彼女の手が運動できる範囲で利用できる自助具を作成しました。鉛筆を持つ、ものをつかむということになんと指が大きな働きをしていることか。彼女は肩が前後・左右に動けば字を書くことができるものだということを教えてくれました。私の自助具は、筆を掌に固定するものでした。筆が上手に紙の上をすべるような角度に固定することが難しいことはいうまでもありません。 彼女は、周囲の人たちに支えられ、絵を描いてゆきました。亡くなってから絵葉書が送られてきました。今日の元気に取り上げた絵葉書はその1枚です。